- HAKUYOU
ビュウステイションについて
彼女の頭の中で風船が膨らんで
膨らんで膨らんでポンと弾けた。
私は、粉々になった彼女のかけらを集めて、
タツノオトシゴを作った。
そして、タツノオトシゴをハンドバックに詰めて
夜になるのを待った。
空が紺色になった頃、
私は空に梯子を掛けて、
誰かが言ったビュウ・ステイションへ向かった。
ビュウ・ステイションでは駅長さんが、
お酒を飲みながら衛星たちと談笑していた。
始発の時間が近づいて、
駅長さんは宇宙服に着替えて車掌さんになった。
私はハンドバックからタツノオトシゴを取り出して、車掌さんに渡した。
タツノオトシゴを受け取って、車掌さんは敬礼した。
タツノオトシゴはうやうやしく扱われ、電車の形をした車両へ運ばれた。
他に乗客はいないようだった。
私は電車の形をした乗り物がビュウ・ステイションから出発するのを見送って
そして、静かな気持ちで家に帰った。
オシマイ
もしもあなたが、頭がはちきれそうなくらいの思いを抱えていたり、
あなたを幸せにしない忘れられない思いや
握りしめていないといけないと感じている思いがあるのであれば
ビュウ・ステイションに持っていくと良い。
ビュウ・ステイションはあなたの周りどこにでも作ることができる。
海でも良いし、浜でも良いし、山でも良いし、角を曲がったところでも良い。
ビュウ・ステイションで働く人たちは信頼に値する。
もしもあなたが苦しいと感じることがあったり、
気に病んでいることがあるのであれば、
駅に止まっている車体にあなたの思いを預けて欲しい。
慢性化していて苦しいとすら感じなくなっているのであれば
それを考えるのに嫌な気分になりながら費やした時間が長いものを預けてしまって欲しい。
駅を出てそれがどこに行くかは考えなくて構わない。
考えてしまったとしても、そのことを気にする必要はない。
あなたの心がいつでも軽やかで自由であるといいなと思う。