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815によせて


気付くと私は真っ暗なホールの中にいた。


どこからか低音のドラムの音が鳴っているのが分かった。


音楽が聞こえてきて、

私の体は自然と踊り始めた。


私は人の気配を感じた。


目が慣れると、私の右側で女の人が踊っているのが見えた。

左側では男の人が踊っていた。


その隣にも隣にも、よく見ると沢山の人が踊っていた。


音楽が次々と流れ、

私たちは手を取ったりくっついたり離れたりしながら踊り続けた。


誰も言葉を交わさなかったけれど、

心が通い合ったことをみんな分かっているようだった。


ふいに音楽が止まり、ホールの中が光った。


ホールはシンとなって、

私の隣にいた人がポンとシャボン玉になった。

そして、踊っていた人たち皆がシャボン玉になっていった。


私は呆然としてシャボン玉を見た。


あるシャボン玉の中には楽器が入っていた。

ミシンが入っているもの、花が入っているものもあった。

(それが、踊っていた人たちの才能であることは私にもすぐ分かった)

(優しさ、とか、美しさ、という言葉が入っているシャボン玉もあった)


シャボン玉は泡になって消えていった。


とても静かだった。

音楽は再開しなかった。



(周囲の人たちから向けられた言葉を元に考えると、

私の唯一にして最大の才能は、とても素朴なことだ)

(私はこの唯一にして最大の才能を、使い尽くしてから死にたい)

(ああ面白かった、と言って寿命を迎えたい)


(これから生まれてくる子供たちが、

自分の才能を使って寿命まで創造的に生きることができる世の中にしたい)










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